衆院憲法審査会が11月16日に開かれ、立憲民主党から中川正春、階猛、本庄知史の3議員が発言し、党の憲法論議の基本姿勢、議員任期延長及び自衛隊明記論の問題点などに言及しました。

中川正春議員
中川写真.jpg

 中川議員は、党内で活発に行われている憲法論議について言及しました。「論憲における基本姿勢を三つ確認をしている。一つ、権力の拡大に対しては、立憲主義に基づいてそれが暴走しないように適切なコントロールが必要であるということ。第二に、時代の変遷の中で人権を守るための新しい課題は、憲法の規範に明記することも含めて積極的に議論をしていくべきだということ。三番目に、平和主義は日本の国の重要課題としてこれからも堅持をしていくということ」と表明しました。

 その上で、権力の拡大に関わる緊急事態条項の問題、自衛隊の憲法への明記、衆議院の解散権の濫用について見解を示しました。「無原則な国家権力の発動を可能とする緊急事態条項については、憲法に明記する必要はない」と明言。選挙実施が困難な事態に陥った場合における「議員任期の延長については反対」、「参議院の緊急集会で対応すべき」と述べました。自衛隊の明記についても「自衛隊の存在が合憲であるという解釈も、また世論も、既に定着」していると説き、明記の「必要がない」と発言しました。衆議院の解散権に関して、「与党の都合のいいときを選んで大義もないのに解散することは、民主主義をゆがめ、国民を愚弄する」と問題視し、「解散の大義については、国会や国民が納得することが必要」と述べました。

階猛議員
階議員.jpg

 階議員は、自民党が公表している憲法改正の条文イメージで、緊急事態において国会議員の任期延長を定める条項と内閣による緊急政令を定める条項がセットになっていることの問題点を指摘しました。階議員は自民党議員に対して「国会議員の任期延長をすれば国会が機能するわけで、国会で必要な法律を作れる。そうだとすれば、緊急事態対応として緊急政令というものを定める必要はないのではないか」とただしました。自民党の中谷議員は「任期延長を定めたとしても、国会が機能不全に陥ったときに備えて、やはり緊急政令に関する議論は必要だ」と返答しました。これに対して階議員は、「任期を延長して国会がフルスペックで機能するようにしても、最後は政府が独断で緊急政令を出せるということであれば、私は矛盾だと思う」と厳しく指摘しました。

本庄知史議員
本庄議員.jpg

 本庄議員は、自民や公明、維新の会などから提案されている憲法への自衛隊明記について「憲法論としても、政策論としても合理性がない」と言及しました。自衛隊については、「戦後、わが国の平和と安全に寄与するだけでなく、自然災害等の発生時において、人命救助を始め、幅広い活動を展開し、国民の生命財産を保護してきた。自衛隊の役割と必要性は国民に十分理解され、その存在は広く受け入れられるに至っている」と評価しました。その上で憲法との関係について、「主権国家としての固有の自衛権が否定されない以上、その行使を裏づける必要最小限度の実力組織を保持することは憲法上認められると解される。これは、現行憲法制定以来の国会審議や政府答弁によって確立されたものだ」と指摘しました。