立憲民主党など野党は11月8日、旧統一教会問題に関する第26回目となる国対ヒアリングを実施しました。今回は、旧統一教会に1億円以上献金した女性信者の長女である中野容子さん(仮名)と、その弁護にあたった全国霊感商法対策弁護士連絡会の木村壮弁護士から被害実態の話を聞き、関係省庁と意見交換を行いました。

 中野さんは60代の女性。本人と父は信者ではなく、母が少なくとも2004年に入信し、2015年までに本人の資産のほか、父親の金融資産や果樹園を数回に分け売却した代金など1億円以上が教会の物品を購や寄付などに充てられたと語りました。

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中野さん(プライバシー保護のため首より下のみ撮影)

 中野さんは2015年5月に父親の七回忌法要で実家に帰ったときに母の異変に気づき、同年8月に再び帰省したときに旧統一教会とかかわっていることを打ち明けられたと説明。すぐに母は脱会の意志表示したものの、信者が権利書等の重要書類を持ち出し、さらに11月には寄付や献金は本人の自由意志によって行ったものであり、返還請求や損害賠償請求などを行わないとする念書と陳述書に押印。その様子は教会がビデオ撮影し、さらに同日、母が認知症ではないとの診断を求めかかりつけ医を受診したと話しました。

 中野さんがその後、教会に献金の返金を求めているなか、16年5月に母のアルツハイマー型認知症の確定診断がされました。

 2017年に東京地裁に提訴し、2021年年に東京高裁に控訴したものの、念書があることなどから訴えは退けられました。なお、高裁の判決があったのは2022年7月7日、安倍元総理が銃撃される前日のことでした。

 中野さんは、旧統一教会に、資産が奪われ、念書が書かれ、その様子を動画撮影されるなどの人権侵害を受けたと語りました。

 裁判については、旧統一教会についての評価が全くされなかったこと、母には念書や陳述書を作成する理由がないこと、母の認知状態に問題があったこと――などを挙げ問題だと訴えるとともに、傷ついた人権や尊厳をより傷つけるものであり、教会の不正行為にお墨付きを与えるもので社会的悪影響は甚大だと指摘しました。

 そして、悪質な高額献金を規制する法整備が一日も早くなされ両親のような被害者がなくなることと、同時に旧統一教会の解散を訴えました。

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木村弁護士

 木村弁護士は、(1)高齢者が献金の取り消しのために、それぞれどういう事情だったのか説明するのは困難であること(2)いわゆるマインドコントロール下で先輩信者から念書を書こうと言われたら拒否ができない状況にあり、その念書が裁判で有効だと判断されること――などを挙げ、裁判の問題性を指摘しました。

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