衆参両院で行われた総理の指名選挙で、菅義偉官房長官(自民党総裁)が第99代総理に選出されたことを受け、枝野幸男代表は国会内で記者団の取材に応じました。

 国会でどのような論戦を望むか、また菅内閣にどのような名前を付けるかとの問いには、「まず、国会の論戦の場を早く作っていただきたい。残念ながら、この国会の会期を3日間で閉じてしまうということであり、一定のご準備が必要なのかもしれないが、できるだけ早く次の国会を召集していただき、十分な会期を取って議論(ができる場)をしっかり作っていただきたい」とコメント。「これまでの、特に安倍総理が辞意を表明されて以降の自民党総裁選挙などを通じての菅さんの発言を伺う限り、大変遺憾ながら『安倍亜流政権』あるいは『安倍亜流内閣』と申し上げざるを得ない。目立つ数字や、あるいは元々比較的恵まれた立場の方を伸ばすことはできても、厳しい条件のもとに頑張っておられる方、あるいはどんどんそういった状況に追い込まれている方、そうしたところに目が行き届かず、結果的に傷つけている政治を、菅さんも自助を強調するということで継続されるようだ。また、今回一番問題になってきた公文書の改ざん、情報の隠ぺいについても『問題ない』と繰り返されている。残念ながら7年8カ月の負の部分を、むしろ肥大化させるのではないかと危惧する」と指摘しました。

 具体的に国会ではどのような論戦をしたいのかと尋ねられると、まず新型コロナウイルス対策を挙げ、「残念ながら、われわれの予想通り第2波が現実に来た。若干いま落ち着く方向に来ているかもしれないが、それでも第1波のピークに近い数字で、新規の感染者が出ている。これから秋冬に向かっていくにあたって、さらに大きな第3波が来れば、医療ももたない状況だと思う。まずはこの感染拡大の防止、あるいは第3波に対する備え、さらにはいまじわじわと、ここまで頑張ってこられた方が倒産あるいは廃業といった状況に追い込まれているので、これをどう支えていくか経済対策をしっかりと議論しなければいけない」と主張。加えて、「中長期での社会、経済のあり方について、『過度な自己責任』なのか、『機能する政府』が支えていく方向なのか。そして、『公文書の隠ぺい体質』か、『公文書管理や情報公開を強化する信頼できる政府』か。この2つの大きな方向性を併せて議論していきたい」と述べました。

 衆院の解散がささやかれるなか、これからの対応についての質問には、「いまのコロナの状況と、それに伴う経済の状況、そして新政権が発足したわけであり、当然所信を示していただき、それに対する質疑をしていかなければならない。まずはそれが最優先であることは論を待たない。一方で、そうした論戦から逃げる無責任な対応を万が一にもする場合があり得る以上、野党としてはそれに備えなければならないと思っている。新しい立憲民主党という形で野党の中に大きな柱ができたので、しっかりと候補者の調整を最大限行っていく。従来の経緯を十分知る、代表代行をかねた平野選挙対策委員長に強いリーダーシップで、その辺の整理をしていただければと思っている」と述べました。

同日の首班指名選挙で会派を共にする議員以外からも多くの票を得たことには、「大変光栄に思い、感謝している。できれば次の首班指名選挙は、おそらく、総選挙の後だと思っているので、その時には首班指名選挙を勝ち抜けるような総選挙の結果にしたい」と力を込めました。